2008年6月4日水曜日

1996年8月号「アンリ・デュナン肖像」


 国家の枠すら確立していなかった時代に、国家の枠を超える組織、赤十字を創ろうとした人。
一介の製粉会社社長にすぎなかった彼が、水利権の許可を得ようと、
ナポレオン3世に会いに行った時のこと。そこで思いがけずに出会った、戦争の惨禍。
その時の衝撃は彼の魂を揺り動かした。
デュナンはそこで感じたショックを、自分の事として受け止めた。
「今、自分に何ができるか」と。そして、見聞きしたことを「ソルフェリーノの思い出」として著している。
この本は1862年に出版されるとともに、大きな反響を呼び、世界各地で出版された。
他人の痛みを我が痛み、と感じる心を持った時、
個人の力が世界に共鳴し、新たな時代を創るのだ。

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