2008年2月13日水曜日

2004年2月号「鬼は外」


 子供の頃は節分の日に「鬼は外」「福は内」と
大声で叫びながら家の内外へ炒り豆を投げた。
後で年齢の数だけ豆を食べるのが習わしであった。
いつもサバを読んで沢山食べたものだ。
ところで鬼は外と言っても鬼が本当に居るとは誰も思っていない筈。
想像の所産だから。
逆に言えば想像の世界=心の中には鬼が存在することになるではないか。
喜怒哀楽の感情に翻弄されて人生を狂わせてしまう、
私たち人間の心の闇に、確かに鬼は存在するのだ。
喜、やりたい放題の独りよがりの鬼。
怒、いつも不満を抱え人を許せない鬼。
哀、人を恐れ卑屈で自己否定の強い鬼。
楽、怠惰に呑まれ眠りに陥り怠ける鬼。
私の心の中の鬼共よ「鬼は外」「鬼は外」「鬼は外」「鬼は外ォ」

2008年2月11日月曜日

2003年6月号「椎名節(しいなぶし)」


 友達に薦められて椎名誠の本を読んで、すっかりはまってしまった。
この人、熱血漢で喧嘩っ早い。日常的にいつも怒っている。
その怒る理由に共感の持てることが多いので
「よく言ってくれた」と嬉しくなるのだ。
余り理不尽な目に遭うと相手を「ぶん殴って」しまう。
私なら出来ないことなので、痛快で胸のすく思いがする。
ご自身を書いた小説を読むと、
青春時代はほとんど毎日酒を飲んでいて、
しょっちゅう流血沙汰の喧嘩をしていたようだ.
私は弱虫でうじうじした奴なので、この人の怒りっぽいのには、
いつもドキドキしながら読んだ。
こういうタイプの人が物書きになったのはとても意外だったが、
その内こんな人だから逆に受けたんだろうなと思った。


2008年2月8日金曜日

2008年3月号「地獄寺」


 社員旅行で日光江戸村に行った。
中ではコスプレを楽しめる様になっていて、20人ほどの仲間が全員、
時代劇の衣装に着替えて村内を見学した。
私は忍者になった。他にも浪人、町人、町娘、新撰組、お姫様、殿様など、
俄役者たちが出来上がった。
こうして歩いていると、村の雰囲気を盛り上げるのに、
一役買わされているような気がしてくる。
面白い見世物が色々あって、切り絵にした地獄寺もその一つだ。
寺の中はお化け屋敷のような趣向で、
地獄の責め苦が次々に展開するのだ。
入ってすぐ閻魔大王に裁かれ全員地獄行きだ。
火炙り、釜ゆで、八つ裂き、針の山、地の池等々、
阿鼻叫喚のあらゆる苦しみを経て、
出口まで辿り着くとお釈迦様が救って下さるわけ。
私の人生のようだと思った。

2008年2月7日木曜日

2007年2月号「群ようこ」


 椎名誠のファンだ。そのつながりで群ようこの作品も読むようになった。
面白い。読んでいてうなずくことが多い。
上の二人に共通するものがある。二人とも怒りんぼだと云う点だ。
怒る理由に納得がゆくことが多いので、
溜飲が下がる思いがして気持ちいいのだ。
息子に怒りんぼと云われた私が、好きになるのは当然だったわけだ。
面白く感じるのは、私が普段、怒りを飲み込んでいるからだ。
知らない人は私を優しい人だとか癒し系だとか呼ぶが、
とんでもございません。
本当は怒りたいのを我慢しているから、
健康に悪いことこの上ない。
以前はそれで鬱病になったこともある。
幸い心持ちを変える方法を身につけ、
今は病気にまではならないが、
本心で生きることの何と難しいことか。嗚呼。

2008年2月4日月曜日

2008年2月号「豊受神社」 


 私の住む町、行徳の神社のひとつ。
手前に慌てて逃げ出しているのは私の息子だ。
2頭の狛犬が台座から降りて来て睨みをきかせているから。
私が子供の頃、石で出来た狛犬が動き出すわけがないと、
分って居てもなんだか恐かったものだ。
その時の気持ちを息子に置き換えて描いてみた。
ところで描きながら考えたのだが、こう言う遊びは、
これが仕事ならNGかも知れないな。
例えばガイドブックの仕事でこんなふうに描いたら、
「絵に嘘がある」なんて神社側からクレームが入るかも。
今のところ私の切り絵は趣味で描いているのだから、
やりたいようにやっている。実際の風景でも「説明図を描いてんじゃない」
等とうそぶきながら、省略や誇張を加えたりして、
好きな絵を描いているのだ。

2008年2月3日日曜日

2008年1月号「おせち料理」


 子供の頃、正月の食卓には必ずおせち料理が並んだ.
昆布巻き、れんこん煮、筍煮、里芋、花形人参、椎茸煮、栗きんとん、
伊達巻、有頭海老の酒蒸し煮、紅白蒲鉾、田作り、
こはだ酢漬け、ゆず生酢、黒豆、等々。
元旦の朝、ゆっくり起き出して、居間のテレビから聴こえるお琴の曲や、
炬燵の上に並んだ重箱に、いっぺんに正月気分になったものだ。
それから年賀状の束を取って来て、家族それぞれに振り分けてゆくのも
正月ならではの楽しみだった。さて現在はどうか。
元旦から似顔絵のイベントで、早朝急いでパンを食べて出掛け、
昼は仕出し弁当だ。夕食に妻の実家へ帰ってやっとおせちの登場となる。
年賀状も出さないから余り正月気分は味わえぬ。
この場を借りて、明けましておめでとうございます。

2008年2月2日土曜日

2008年12月号「ローストチキン」


 クリスマスの食卓と言えばとりの丸焼きですね。
子供の頃テレビデ見た、ディズニーアニメのクリスマスシーンニヨク出て来るとりの丸焼き、
あれにものすごく憧れていたんです。
「あれが食べたい。あれを買って」と母にしつこく頼んで、やっとの事、
クリスマスイブの食卓に、七面鳥でこそ無いものの、
鶏の丸焼きが載った時は、兄弟で歓声を上げて喜びました。
ところがいざ食べようとしたら、どこから手をつけて良いのか分らなくて、
頭をひねりました。強引に頼んだ手前、喜んで食べる振りをしたが、
本当はあばら骨など出て来るしなんだか気持ち悪くもあり、
想像していたほど美味しくなかった。
そんな思い出があるけれど、今親になって子供からねだられたら、やはり買ってあげたいと思います。