2008年5月15日木曜日

1999年11月号「恵比寿」


 商売繁盛の守り神。七福神の中で唯一、日本固有の神様だとか。
恵比寿さんと言えば、まずビールと思うのは私だけではあるまい。
だからと言う訳ではないが、この絵を描くための資料にかこつけて、
恵比寿缶ビールを買わせてもらった。
美味しいビールを呑んで、切り絵も描けて、すでにご利益を頂いたような気分である。
ま、それは冗談としても、資料集めにはいつも苦労する。
図書館には当然行くが、街を散策中に、七福神関係の看板を見つけたりしたら、
すかさずカメラで撮る。ついでに狸の置物や、招き猫なども撮っておく。
たまたま入った百円ショップで七福神の人形を見つけたりすれば、大喜びで買って帰るのだ。

2008年5月13日火曜日

1999年8月号「寿老人」


 人々の健康と長寿を司る福神。
杖には人の寿命の長さを記した巻物が結ばれてある。と言うが、
もしその巻物を見るチャンスに恵まれたとしたら、どうしますか?
私はまず見たくないですね。
先のことはどうなるか分らないからこそ,頑張ろうと言う気も出て来るもの。
もし明日までなんて書いてあったら、お先真っ暗、自暴自棄になって、
何も手につかないだろう。反対に百まで生きるって書いてあれば、
逆に猶予感覚に呑まれてしまって、やはり何もしないで居るかもしれない。
いたずらに未だ来ぬ明日を思い煩うのは、馬鹿馬鹿しいことだ。
そして昨日までの過去にもこだわらず、今この日を、この一瞬一瞬を一生懸命に生きる。
それしかないでしょう。

2008年5月11日日曜日

2000年8月号「福禄寿」


 福は幸福,禄は財宝、寿は長命を意味する。
中国の福神で、ご利益としては、人をして敬愛の心を持つものにし、
また人望と健康を与えると言う。
一説に福禄寿と寿老人は、異名同体の神とも言われている。
それで少し迷ったが、結局別のキャラクターとして描かせてもらった。
それにしても少し迷ったにしては、この前に布袋さんを描いてから、
随分間が空いてしまった。実は布袋さんを描いて、
あと二つと言う時になって、飽きちゃったのだ。
結構いい加減な創作態度なのだ。お許しあれ。
後は大黒様だけなので、何とか行けそうな気がする。
やはり中途半端なままにして居ると、気になるものですね。
特に我々のような性格の者にはね。
*この文は前後の並び順と辻褄があわない。
昔連載していた通りに収録してないので、こんなことになる。
ま、それも当時の状況を偲ぶに面白いと思い、ほぼそのままの文で載せました。

2008年5月10日土曜日

1999年7月号「弁財天」


 七福神の中で唯一の女性神。財宝利得をもたらす。
芸術・音楽の神様でもある。では私にはうってつけの神様だ。
「今に一流の似顔絵描きになってやる」と言う想いが、
いつでも心の奥底を流れ続けている私だから。
と言いながら、別にこうした七福神などの,御利益に期待しているつもりはない。
神に祈ってもそれは、報いを求めてのことではない。
祈ることで自分から神の心に近付いて行こうとする。
そうすることで、今自分は何をしなければならないかが、自然に分ってくるだろう。
そうして生きた結果が良ければ、それこそ御利益と言うものだ。

2008年5月9日金曜日

1999年3月号「父」


 ついこの間のことだ.銭湯でカランの前に座って、何気なく目の前の鏡を見て驚いた。
「お父さん」と思わずつぶやいてしまうほど、そこに映された私の顔は、
亡くなった父親に似ていたのだ。
戯れに頭に少し水をかけて、指で髪をかきあげ、オールバックにしてみた。
まるで瓜二つだ。なんだか変な気分だった。
「やっぱり私は親父の血をひいているんだな」と「私も齢をとったな」との、
二つの思いが同時によぎった。
シナリオ作家の父に憧れとコンプレックスを抱きながら、漫画家を目指した青春だった。
そして挫折。フリーター、病院、入院、社会復帰。
「色々あったけど、今は似顔絵描きでなんとか生きています。
来月結婚します。お父さん有難う」
*例によってこの文は昔に書いたものです。来月結婚するわけではありませんから、
お間違えなきように。

2008年5月8日木曜日

2008年6月号「私は似顔絵描き」


 私は伊原桜祐。職業は似顔絵描きです。
東京近郊のテーマ・パークやショッピング・モール等にある似顔絵コーナーで、
お客様をお一人10分くらいでお描きしています。
月に何回かイベント出演で、泊りの出張をすることもあります。
似顔絵を描くにあたって、私がこだわっている事があります。
「そっくりにお描きしたい」と言うことです。
そっくり似顔絵には癒しの力があります。
私がかつて鬱病の轍から、抜け出すことになったきっかけも、
ある人に生まれて初めて、自分の似顔絵を描いてもらった事でした。
私は描かれて癒され、次に描いて癒されています。
私の人生の目的は,障害のある人のもとに行って、
似顔絵を描かせて頂くことです。それをする日のために今を懸命に生きています。

2008年5月7日水曜日

1999年10月号「未完の頂」


 ポレポレの会だより第百号、おめでとう。
百と言えばひとくぎり、なにか達成感がありますね。
そしてまた一から、新たな一歩が始まる予感もします。
私達は何時だって、何かの目標に向かって歩いている。
別に大した目標じゃなくてもいいと思う。
デイケアに全回通うでも、毎日歯を磨くでも良い。
それを山登りに例えて描いた。遥かな頂を目指して、
毎日苦労と忍耐を重ねて、粘り強く登り続けた。
そしてようやく頂上の土を踏みしめたとき、
その山の向こうに,さらに高い山が聳えていることに気付くのだ。
でもがっかりすることは無い。あなたはここまで来たからこそ、
次の目標を見つけることが出来たのだから。
さあ、百一号から新たな飛躍を目指して歩み出そうではないか。
*これを書いたのが1999年の10月号だ。
そしてこのまま行けば、来年2009年の2月号が第二百号になる筈である。
継続は力なり。よくぞ皆さん頑張った。これからも頑張ろう。私も頑張る。