2008年2月20日水曜日

2007年4月号「顕仏」


自我の殻を破って、身の内から仏性が現れる瞬間を描いてみました。
私たち人間は智恵昏く、自分のことさへ、ほとんど分っていません。
同じ過ちを飽きもせず、延々と繰り返し、その自覚もありません。
一瞬後に自分がどんな行動に駆り立てられるかも、
まったく予測できないと言うのが現状です。
自分の感情の動きを冷静に客観的に観察できている人が、
一体世界中に何人いるでしょうか?
様々な出来事の狭間で、喜んだり、怒ったり、落ち込んだり、
鈍感になって、気がつくべきことを見逃していたり。
自分が喜怒哀楽のどれかの感情に、
すっかり飲み込まれていることにも、無自覚です。
心を透明に澄ませて、自分の本心を聞きたい。
本当の自分に会いたい。

2008年2月19日火曜日

2000年4月号「我が家のひかちゃん」


 現在わが家で生後六ヶ月の子猫を飼っている.
茶トラの雄で名前はひかるである。
20年来の親友の名前を戯れにつけてみた。
去年の秋、仕事から帰ると玄関にダンボール箱が置いてあり、
中にタオルにくるまれて、手のひらに乗りそうな小さな子猫が寝ていた。
妻に聞くと、迷子のこの子を拾って困っていた子供から預かったと言う。
どうしたものか、二人で相談した結果、飼うことにした。
最初の晩は、弱々しくひたすら寝ている様子に、
このまま死んでしまうのじゃないかと、随分心配した。
猫を飼っている友人に聞いたりしながら、餌やトイレを誂えた。
あれから半年、迷いながらの子育てだったけど、
よく育ってくれた。今では我が家の大切な一員なのだ。

2008年2月17日日曜日

2002年12月号「ふくすけ」


 縁起物の切り絵として、福助を描いた。
呉服屋の店先などでよく見かけるこの福助人形。
御利益は招き猫に似て商売繁盛の神様だ。
江戸時代末期に京都の伏見で売り出されたのが始まりだとか。
ところでこの福助人形には実在のモデルがあるって知ってましたか?
江戸後期、滋賀県木曾街道沿いに在った、
老舗のもぐさ屋に働いていた誠実で実直な番頭さん、
その名も叶福助と言う。
この方の人柄が愛され、お店は大いに繁盛したという。
福神として昇格してから色々と有難い話も出てきて、
この方は吉祥天女の婿で、
摩加羅大黒天の化身であるとされている。
それは兎に角、その人が居るだけで場の空気が和み、
暖かい雰囲気に包まれてしまう。それこそあやかりたいところだ。

2008年2月16日土曜日

2004年5月号「異界で温泉気分」


 鉛筆が走るにまかせて下書きを描いた。
最初から何を描いてやろうという意図はなかった。
その内、こんな絵が出てきた。
後は興に乗ってイメージを整えていって、この切り絵になった。
「どこか遠くでゆっくり温泉にでも浸かりたいなあ」
と言う日頃の願望が、このような形で出てきたらしい。
テレビで好んで観るのは専ら旅番組だ。
余り売れなくなった俳優やタレントが、旅先で珍しいものを食べ、
絞りたての地酒を呑んだりするのを観ながら、
妻に「この人も仕事があって良かったなあ」等と、
失礼なことをほざいているのだ。
仕事柄、泊まりの出張イベントもあるが、
現地では会場に直行で、旅行気分にはなれない。
せめて移動中の缶ビールに精一杯の旅情を思うのだ。

2008年2月15日金曜日

2001年10月号「ゴッホ・レクイエム」


 フィンセント・ファン・ゴッホ、世界中の多くの人に愛され、
親しまれてきたゴッホの絵画には、
彼の辿った人生の苦悩と葛藤、そして狂気が、
凝縮されたかのように描かれていて、それゆえの人気とも言えるのだろう。
ゴッホの出生当時、彼の母親は、
夭逝したすぐ上の兄の面影を彼に重ねて育てた。
こうしたことが成長期の彼の人格形成に与えた影響は想像以上のものだろう。
頑固で気難しい、人との関わりを上手く結べないゴッホの誕生だ。
彼の人生を見ていくと、失恋、転職、伝道師としての挫折。
弟のテオの援助を受けながらの画家としての生活。
アルコール中毒、耳きり事件、精神病院と、
私にとっても他人事とは思えないのだ。
彼の魂へ鎮魂の思いを込めて。

2002年3月号「我が家のビリケン」


 ビリケンって知ってますか?
大阪通天閣の展望台に鎮座ましまして、庶民の幸福を手助けしている、
アメリカ産の福神人形なのだ。ビリケンの誕生には面白い逸話がある。
1908年、アメリカのある女流彫刻家の夢枕に立ったビリケンが、
「私の姿を人形にして売り出すと幸福が訪れる」と言ったとか。
彼女が半信半疑ながらも、作ったところ、飛ぶように売れたと言う。
キュウピイさんの原型とも言われている。
その姿の可愛らしさと、不思議さに魅かれ、
縁起物の切り絵として描いてみた。
実は私事だが、昨年の暮れ我が家にこのビリケンそっくりの男の子が生まれた。
名前はふうすけ。どうぞよろしく。
*絵の中のビリケンのスペルが間違っていました。
ビリケン及び関係者各位にお詫び申し上げ、訂正いたします。
正しくは「BILLIKEN」でした。ビリケンさん長い間ごめんなさい。

2008年2月14日木曜日

2005年2月号「宝珠」


 お寺のてっぺんに玉葱みたいな形の物が
載っているのを見たことがありませんか。
あの形を宝珠と言って、一説にあれは宇宙の形を表しているそうです。
それでは宇宙を外側から観た人がいるのか?と
妙な気持ちにさせられますが。
思春期、蒲団に入ってから、時間と空間の永遠ということを考え出すと
止まらなくなって、なかなか寝付けず、随分悩んだ時期があった。
だがそうした事も、年齢を重ねるうちに、
現実の問題に次々と応えている内に
忘れたように考えなくなってしまった。
答えを見つけた訳ではないので、未だに疑問を抱えたままだが、
一生考えても分らないような事を悩むより、
今すべき事を一所懸命にやるしかないと、
割り切って生きております。