2009年1月6日火曜日

何故そっくりでなければならないか!?

 描いてもらった似顔絵がそっくりなら嬉しいと思うんですよ。
現代の日本人は総じて自分に自信がなくて、
自分の存在感の希薄さに、不安を感じているように見えるんです。
アイデンティティの喪失の時代なんですよ。

よく電車の中で、ずーっとコンパクトを眺めている女性を、見かけることがあるでしょう。
あれなどは、別に化粧を直しているだけの事ではないんですよ。
本人はそのつもりかも知れないけど、
実はそうやって、無意識に自分の存在を確かめているんです。

似顔絵は、そうした存在感希薄の危機感に、
ある種の癒しを与えているんです。
画家が一所懸命にモデルと向き合って
「こう見えましたよ」
「これがあなたですよ」と提示するわけです。
それは嬉しいことでしょう!?
「あ!これは俺だ」
「確かに私だ!」
と喜ぶ顔がそれを物語っています。

人間同士、一対一で、相対する時間そのものが、減っている気がします。
前にウェスタン村で、年輩の画家が、
お客さんの人生相談をしているような、光景を見たことがあるが、
あれなど人と人の絆を感じて、実に微笑ましいものだと思いました。
そのふれあい自体が人を癒すのだと思います。
それがそっくりなら、なおさらよいと思います。

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