2008年8月23日土曜日

2007年6月号「夢の情景」


 夢って、わけわからないよね。
15年前、私は未来に希望のない、暗闇の中に居た。
生活能力がなく、国の援助でやっと生きていたし、
病んだ心は、いっこうに回復の兆しを見せなかった。
自立しようとアルバイト情報誌をめくっても、出来そうな仕事は見つからなかった。
私はどうなるんだろう。もう駄目かもしれない。
起きている間は、常にこうした不安を抱えていた。
変な話だが、こうした日常の中で私は、前の晩に見た夢を思い出しては、
「こんな、訳のわからない世界が在るんだから、この世は未だ知らない事だらけ。人生は捨てたものじゃない」
と、理屈ではなくそう思ったのだ。
毎夜見る夢の不思議さを思うにつれ、
かえってそこに未来への希望を託したのだ。
私は夢に励まされて回復に向かい始めた。
*お陰さまで、現在は15年以上病院に通うこともなく、
健やかに暮らしています。
似顔絵と言う天職に出合ったことと、
祥伝社・黄金文庫の高橋佳子著・「人間の絆・三部作」に出会ったこと。
二つの出会いによって、どうにもならない暗闇から抜け出る事が出来たのだ。

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