2008年3月13日木曜日

2002年4月号「ロートレック」


 アンリ・ド・トゥールーズ・ロートレックは、
1864年西フランスの名門貴族の家に生まれた。
伯爵家の繁栄を守るための、家系内での便宣的な結婚であった。
やがて両親は別居し、母は結婚の失敗を埋め合わせるかのように、
残されたアンリの養育に没頭した。
彼は少年期に相次ぐ事故で両足を骨折し、
下半身の成長が止まった。
母の愛情が尚さらに注がれたことは、想像に難くない。
17歳のかれは、母の独占欲から逃れるように、
パリに出て絵の勉強を始めた。
やがてその才能を開花させたが、
ナイトクラブや売春宿などに足繁く通う放蕩生活に傾斜していった。
それは母の呪縛に対する反発のようにも見える。
30歳頃からアルコール中毒になり、36歳で没した。

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