2008年5月22日木曜日

2005年4月号「友人M」


 私の友人M君を紹介しよう。彼を一言で表すなら、融通のきかぬ正直者。
裏表の無い人、とでも言おうか。それは良くも悪くもであって、
彼が我々の似顔絵仲間に入って来た当初は、その正直さゆえに、
随分人と衝突もし、人を傷付けもした。
私も初対面の彼の印象は、余り良いものではなかった。
彼はまるで、世界中を敵にしているように見えた。
抜き身の刀の様にぎらぎらしていた。だが時は人を変える。
一緒に働いて、長い時間を共に過ごした。沢山話もした。
段々と彼のすさみが剥がれ落ち、魂の透明さが姿を現してきた。
傷付けたのは傷付きたくなかったから。
愛さないのは愛されないと思っていたから。
私の見るところ、彼も似顔絵を描き、描かれして癒された私の魂の同志だ。
最近の彼は優しい眼をしている。会った頃の彼とは別人だ。
人はこうも変われるものなのだ。彼は隠しているが、
実は私に負けぬくらい涙もろいのではなかろうか?と思っている。

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